目次
概要
この章ではトラブル・チケットの主要概念の説明とともにトラブル・チケット・システムの手短な紹介を提供します。例示により手っ取り早くこのようなシステムを使うメリットについて説明します。
次の例ではトラブル・チケット・システムとは何か、そしてどのようにあなたが会社でそのようなシステムが役立つかを述べています。
マックス氏は、ビデオレコーダーの製造業者だと想像して下さい。マックス氏は製品サポートを必要とするお客様から多くのメッセージを受け取っています。ある日、彼は速やかに返答することもメッセージを受け入れることもできなくなりました。一部の顧客は対応の遅さに我慢ができず同じ質問をするために 2 度めのメッセージを送ります。サポート依頼を含むすべてのメッセージは、単一の受信トレイ フォルダーに格納されます。サポート依頼はソートされておらず、マックス氏は、通常のEメール プログラムを使用してメッセージに応答します。
マックス氏はすべてのメッセージに対して十分に速やかに返信できないため、彼は開発者のジョー氏とジョン氏に助けてもらっています。ジョー氏とジョン氏は同じメールシステムを使い、同じメールボックスにアクセスします。彼らはマックス氏がしばしば一人の不満を持った顧客から2件の全く同じ要求を受けていることに気づいていません。ときどき彼ら二人は全く同じサポート依頼に対して別々に返答をし、顧客は二つの異なる返答を受信してしまうはめになります。その上、マックス氏は彼らの返信の詳細について知りさえしないのです。また彼は、どの問題がより頻繁に起こっているいるのかといった顧客の問題やそれらの解決の詳細についても、あるいは、顧客サポートにどれほどの時間やお金が使われているかについても気づいてはいません。
会議にて同僚はマックス氏に対して、トラブル・チケット・システムが、如何にマックスが顧客サポートで抱えている問題を解決可能であるかを伝えました。インターネットで情報を調査したのち、マックス氏は、コンピュータにOTRSをインストールすることに決めました。それは彼の顧客と彼の従業員の両者がウェブからアクセスできるものです。現在では顧客のサポート要求はもうマックス氏の個人メールボックスに送られることはなくOTRS用に使用されるメールアカウントに送信されます。チケットシステムはこのメールボックスに接続しすべての顧客の要求をデータベースに保存します。新しい要求毎に、システムは自動的に解答を生成し、それを顧客に送ります。そのため顧客は要求が受信されて速やかに要求に対し解答されるだろうとわかります。OTRSは明確な参照番号、すなわち、チケット番号を生成し、要求毎に対して与えます。現在では顧客は喜んでいます。なぜなら顧客の要求は認識され、同じ内容の2度目の要求メッセージを送らなくても良くなったからです。マックス氏、ジョン氏そしてジョー氏は現在では、シンプルにウェブからOTRSにログインして顧客の要求に回答しています。システムは回答中のチケットをロックするので、そのメッセージを同時に他の誰かに編集されることはありません。
スミス氏がマックス・カンパニーにサポート要求をして、彼のメッセージがOTRSで処理されたと想像してみましょう。ジョン氏は彼の要求に短い解答をします。しかしスミス氏は彼の質問に対するジョンの解答に対して引き続き質問をしたいと思っています。ジョン氏は多忙のためマックスがスミス氏のメッセージに解答します。マックス氏は、OTRSの履歴機能によってこの要求に関するコミュニケーションの全ての流れを把握することができます。スミス氏は複数のサービス担当者が 彼の要求を解決するためにかかわっていることを知らないのですが、彼はマックス氏の最後の解答が到着しその詳細について大変満足しています。
むろん、これはトラブル・チケット・システムのほんのわずかの可能性と特徴を垣間見たに過ぎません。しかし、もしあなたの会社がEメールと電話を通して大量の顧客要求を処理しなければならないならば、そして、もし異なるサービス担当者が異なる時間に対応する必要があるならば、チケット・システムは大変役立つことができます。むろん、これはトラブル・チケット・システムのほんのわずかの可能性と特徴を垣間見たに過ぎません。しかし、あなたの会社がEメールと電話を使って大量の顧客要求を処理しなければならないならば、そして、もし異なるサービス担当者が異なる時間に対応する必要があるならば、チケット・システムは大変役立ちます。またチケット・システムは、ワークフロー・プロセスを合理化する助けとなり、効率化を促進し、全体的に生産性を改善します。チケットシステムは柔軟にサポートやヘルプデスク環境を構築することができます。顧客と2人のサービススタッフ間のコミュニケーションはよりわかりやすくなります。最終的な成果は、サービスの効率性が向上することです。そしてきっとその顧客の満足度は、会社により良い財務実績をもたらすことでしょう。
トラブル チケットは、病院の患者のために作成した医療レポートに似ています。患者が病院を訪れるとまず、すべての必要な個人と医療情報を保持するために医療レポートが作成されます。何度も通院すると、患者は前回と同じあるいは他の医師に診察され、診察医は、患者の健康及び治療中の処置に関する情報を追加しレポートを更新します。こうすることで他のどの医師や看護スタッフがすぐに患者の状態を完全に把握することができます。患者が回復し退院するとき、医療レポートから得られるすべての情報は保存されレポートは閉じられます。
OTRSのようなトラブル・チケット・システムはトラブル・チケットを通常のEメールのように取り扱います。メッセージはシステムに保存されます。顧客が依頼を送信すると、システムは新しいチケットを生成します。そのようなシステムは新しく作成される医療レポートに相当します。新しいチケットへの応答は、医者が医療レポートへの記入することに似ています。チケットは、回答が顧客へ返送された場合あるいは、チケットがシステムによって個別に閉じられた場合に、完了となります。もし顧客がすでに完了したチケットに再度応答すると、そのチケットは、新しい情報を追加された上で、再対応中となります。全てのチケットは格納され、完全な情報でアーカイブされます。チケットは通常のEメールのように取り扱われ、添付ファイルや文脈上の注釈もまた各Eメールに格納されます。さらに、基準日、従業員関係、チケットの解決に要した作業時間などの情報が保存されます。その後いつでも、チケットはソートされ、検索可能であり、さまざまなフィルタリング・メカニズムを使いすべての情報を分析することができます。